呉ノ藍元の易断

易(略筮法)により思うままに占断します

勝負占(東京マラソン2020年3月1日開催)

2020年2月29日の占。

 

明日3月1日は、東京五輪の最後の切符をかけて

東京マラソン(男子)が開催される。

そこで、有力候補とされる日本人男子3人について

活躍を占った。

 

  • 大迫 傑選手(28歳)        現日本記録保持者                          2:05:50
  • 設楽 悠太選手(28歳)  全日本記録保持者                          2:06:11
  • 井上 大仁選手(27歳) 18年ジャカルタ大会金メダリスト 2:06:54

 

1、大迫傑選手・・・地火明夷3爻変、地雷復へ之く

明夷は、

内卦の離を文明とし、麗(つ)くとし、

外卦の坤を暗昧とし順とすれば、

内卦の自分は明だけれども、外卦の坤暗なる相手に麗きしたがって

自分の明るさを暗まされる様子。

 

三爻を得たが、この九三と上六は害応しており

明夷の首領上六により九三は傷つけられる。

これを討伐して、その首を討ちとろうとする。

しかし、上六は勢い盛んで簡単には討伐できない。

よくよく相手と自分の能力を比較熟慮したうえで、決行するべきである。

もし慌てて場当たり的に行動するならば、却って大きな被害を被る。

 

以上より

大迫選手は、

序盤、トップ集団に付き従ってチャンスをうかがうが

トップ集団のかけひきに巻き込まれ、ペースを乱される。

なかなか先頭を奪うことができずに内心慌てふためく場面もあるだろう。

場合によっては、先頭集団から脱落することもありうる。

しかし、先頭集団の姦計かけひきにも我慢して

たとえペースを乱されても、深謀遠慮をもって軽々しく動かなければ

失地回復の余地は残されており、最後に好機が訪れよう。

 

2、設楽悠太選手・・・雷水解四爻変、地水師に之く

雷水解は、水雷屯が易位した卦。

水雷屯の内卦震が動き進んで、坎の大川を渉りきり、険難を脱出した様子が

雷水解である。

設楽選手は、ラストスパートで一気に活躍できる勢いがあることを示している。

 

卦辞もまず「西南に利あり」。

西南とは坤地の方位であり、初爻を北とすれば、上六は南の方位にあたる。

西南は「前進」を意味する

また、坤は柔順を表すので、レース序盤は、先行集団に付き従う戦法となろ。

 

次に「往くところなくば、それ来たり復(かえ)りて吉」。

集団に囲まれて、動きがとれなくなる。

プレッシャーも受けるだろう。

しかし、行くところがないからと言って慌てる必要はない。

その集団内でじっとしていているのが、集団に従順であり

吉を得るのだ。

 

そして最後に「往くところあれば夙(はや)くして吉」。

後半になると、先行集団から脱落する者出てきて

集団の囲みが緩くなる。

行く場所を見つけたら、一気に抜け出すチャンス。

その機会を逃さずに、ラストスパートかければ

良い結果を得られる。

 

四爻を得ているが

 

解の四爻は、陽剛の才力があり、解の時にあたって

天下の大険難を解くべき任務をもち、その才力徳量に申し分のない者。

しかし、注意がいる。

初六の陰柔の小人が応じているので、九四に親しみやってくるのである。

これは九四にとって益となるのではなく、足を引っ張るものとなる。

だから、この陰柔小人を排除し解き去る必要がある。

そうすれば、同徳の二爻が、九四のもとにやってきて、力を合わせて

目標へ向かうのである。

 

つまり、集団から抜け出す際に

外国勢選手の強靭なプレッシャーにあい、

なかなかふりほどけないが

ライバルの日本人選手が並走して

共にその圧力を除去してくれるのである。

 

用心しないといけないのは

この爻辞には「なんじが拇(おやゆび)を解く」とある。

足の親指のこと。

足のケガ、骨折、けいれんには気を付けないといけないだろう。

特に集団内に閉じ込めれるだろうから、

転倒により足を負傷することも考えられる。

 

之卦「地水師」は戦いの卦であるが

危険について警告があるので、用心にこしたことはない。

 

3、井上大仁選手・・・地風升の上爻変、山風蠱に之く

地風升は、木の芽が地中から出てくるところであり、

進み昇るという意味をもつので、良い卦である。

そして卦辞も四徳(元亨利貞)が揃い、

「南に征(い)けば吉」と、太鼓判を押す。

 

しかし、進み昇る時において、上爻を得ている。

すでに行くところがないのに、さらに進もうとする。

行き過ぎるのである(「升るに冥(くら)し」)。

このままでは凶害を被るので止まるときを知ることが肝要である。

(「不息(やまざ)るの貞(つね)あるに利あり」)

 

井上選手は、外国勢選手の早いペースに惑わされ

どんどんスピードアップし、行けるところまで行ってしまう。

ペースを落として止まることができれば、チャンスがあるだろうが

勢いに任せて行ってしまえば、脱落あるのみ。

 

之卦「山風蠱」。

辛抱強く慎重に事を運べと説く。

そうしないとリズムが乱れて、後の祭り。

納得のいかない結果を得るであろう。

 

以上より、勝負占としては

3人の順位は上位から

1、設楽悠太選手

2、大迫傑選手

3、井上大仁選手

 

ちなみに、外国勢で最有力のビルハヌ・レゲセ選手(エチオピア2:0248)

活躍を占って「澤雷随初爻変、澤地萃に之く」を得た。

澤雷随は震の長男が、兌の少女のもとに下って従っている様子である。

これは本来随わせるものに、随っているのであって、随い難き道である。

また、内卦の自分は動いて、外卦の相手を悦ばせ、自分が積極的に相手に随う様子である。

そして、卦辞も四徳そろい、「咎なし」と。

初爻の爻辞も合わせ見ると、

レース序盤は、順位が入れ替わることもあるが、

周囲に随って吉を得る。

その様は、余裕綽々。積極的に集団に随い、単独先頭にたつことはないだろう。

最後には集団の真ん中を突破して「功有り」。優勝を手にする。

 

断了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボタンの掛け違い~雷澤帰妹

2020年2月29日の占。

 

楽天が通販サイト「楽天市場」で一定額以上の商品の送料を出店者負担で無料とする方針を決めた問題を巡り、公正取引委員会は28日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで、無料化の緊急停止命令を出すよう東京地裁に申し立てた。

 

事の発端は、昨年、楽天が税込みで3980円以上の商品を購入すれば送料を無料にする方針を発表したが、一部の出店者がそれに納得できずに任意団体「楽天ユニオン」を設立して公取委に調査を求めるなど対立が問題化したもの。

 

そこで、公取委は2月10日に独禁法違反の疑いで、楽天に立ち入り検査に入った。だが、楽天三木谷浩史会長兼社長は13日、予定通り3月18日から無料化を実施すると表明した。検査開始から違反行為をやめさせる排除措置命令までには1年以上要する場合も多いことから、公取委は、無料化実施の前に効力を発生させる緊急停止命令に踏み切った。

 

以上のような次第である。

そこで、「楽天は、このまま送料無料化を実施継続できるか」を占ってみたところ

「雷澤帰妹の初爻変、雷水解」を得た。

 

帰妹の卦象を見ると、

内卦の楽天は、

兌悦して「お互い事業発展のために送料無料でいこうよ」と出店者をなだめているが、

一方、外卦の出店者は、震い動いて、「いやだ、いやだ」とそっぽをむいている。

綜卦(賓卦)から、出店者から見ると風山漸。

内卦の出店者は、艮山のごとく動かず、「送料無料は、断固拒否」の構え。

一方外卦の楽天は、巽風倒兌で出店者に仲良くしようと対応している。

 

そもそも帰妹の卦辞は、64卦中、最悪の警告を発する。

 

「帰妹は、往(い)けば凶。利するところなし」

 

進めば凶。何の得もないと。

 

この卦は、結婚を例えにしているのだが

雷は、長男で、

澤は、三女を表す。

長男と三女では、釣り合いがとれずに、不自然。

そこには既に無理が発生している。

出だしにそうした無理があると

後でいくら調整修正しようとも、

ボタンの掛け違いのように

後々大きな苦労をすると戒めるのである。

 

つまり、この卦は

物事をなすには、互いに適切な関係でないと

初めはよくても、後々無理が出てきて結局うまくいかない、

何事も最初が肝心である

と説いている。

 

このように卦辞は、厳しい内容であるが

しかし、彖伝には「帰妹は天地の大義なり」とあるように

帰妹、つまり若い娘の結婚自体に問題があるわけではない。

それどころか大いに祝福すべき慶事である。

だから爻辞は比較的穏当である。

 

初爻の爻辞

帰妹のとき以(も)って娣(てい)たり、跛(あしなえ)のごとくにして能(よ)く履(ふ)めり、征(ゆ)くは吉なり

 

今、初九は最下の位に居て、上に応爻の助けはない。これは、自己薄命にして匹配するところの者である。
したがって、娣=妾(めかけ)となって適(ゆ)く者。
だから、帰妹のとき以って娣たり、という。


娣の道とは、諸般の務めをことごとく正妻に承けて行う者にして、自ら主導権を執って行うことはできない。
これを喩えて、跛のごとくに、という。


今、初九の爻は、よく己が娣たる分際を守り、承け順う道を守り行う。
これを喩えて、能く履めり、という。
だから、跛のごとくにして能く履めり、という。


このようにしていれば、失うところはないので、征することも吉である。
だから、征くは吉なり、という。

 

楽天は、主導権を握って送料無料方針を推し進めようとしているが

楽天の事業は、出店者あってこそ。

出店者が正妻であり、

楽天は妾であるので、

主導権は正妻の出店者にある。

楽天は、出店者の意に従って、事を為すのがよいのである。

このようにすれば、出店者も楽天も吉をえられるというもの。

 

この爻変じて、雷水解となる。

卦辞は

「解は、西南に利ろし、往(ゆ)く攸(ところ)无(な)くば、其れ来たり復(かえ)りて吉、往く攸(ところ)有れば夙(はや)くして吉」

 

帰妹から解への変化は、内卦の澤が水に変化したことによる。

澤は止水を表し、水は流水を表す。

水気が静から動へ変化したことで

上の雷鳴が響き渡り、下の水と呼応して雨となり

天地の気が交流して慈雨となる。つまり解決へつながる。

 

「西南」は坤、柔順にして穏やかを表す。

従順に対応すれば、問題は解決すると。

 

楽天としては、出店者とよく話し合い、

その意思を尊重して、柔軟に対応することが

解決へ至る道である。

 

しかしながら、

この道に順わなければ

帰妹の内卦澤の兌悦から、解の内卦水の坎へ変化することが表すのは

楽天は今はにこにこと「送料無料に協力してね」と愛想を振りまいているが

出店者のユニオンや公取委の対応次第では、

その態度が硬化して、「坎」=法律問題へ昇華させて、裁判での決着をもみることになろう。

楽天の三木谷会長兼社長は、すでに「法律上問題がないことは確認済み」と大見えを切っている。

 

断了

 

 

 

 

 

 

一皮むけてポパイ、そして虎へ~澤火革

大リーガー大谷翔平さん、最近その肉体改革が話題の的になりました。

ノースリーブから露になる腕は筋骨隆々。

それを例えて「キン肉マンになった」「ポパイのようだ」。

 

プロ野球界のご意見番は、その筋肉の付き方に苦言を呈した。

「野球に必要な筋肉ではない、それでは怪我をする」と。

それに対して、ファンやトレーナーからは賛否両論。

 

そこで筮して問うてみた。

大谷翔平さんの今年の仕事運は如何」。

得たのは、「澤火革の四爻変、水火既済に之く」。

 

澤火革の卦は、

万事改めるのをよいとする。

今まで世の中に認められていなかったことは

速やかに故(ふる)いことを捨て去り、

新しいことを取り入れるのがよい。

これぞ革命革新。

それはあたかも、沢水が離火を消し去り、または

離火が沢水を蒸発させてしまうようなもの。

互いにその性質を変え改めるので、「革」という。

人事面も例外ではない。

万事、旧習を廃し、新しいことを取り入れていく時である。

 

卦辞には目出度い四徳(元亨利貞)が揃う。

 

「革は、已日(いじつ)に乃(すなわ)ち孚とせらる、

元いに亨る、貞しきに利(よ)ろし、悔い亡ぶ」

 

已は「すでに」という意で、已日は、改革し得て、功成り事を遂げる日のこと。
およそ改革ということは、初めはなかなか人々に受け入れられないもの。

誰もが旧習に慣れ親しんでいるからである。
したがって、その改革をした後、それが自他共に素晴しいと思えるものであれば、

そのときに漸く人々はその改革を信じ、歓迎する。
だから、革は已日に乃ち孚とせらる、という。

 

つまり、大谷選手としては

肉体改造をして、今シーズンを迎えた。

大リーグの専門トレーナーの最先端の理論に裏付けられた体力強化である。

これまでの日本の理論では、到底受け入れがたい体力増強であり、

古参の御意見番も否をならす。

大幅な肉体改造が是か非かは、彼の今シーズンの結果が教えてくれるだろう。

そしてその結果が素晴らしいものであれば、

その時初めて大谷選手の採用した新しい理論が皆に受け入れられて

野球トレーニングそのものにも大きな変革をもたらす。

 

では大谷さんは、革命を起こすことができるのか。

四爻は、

内卦離から外卦澤へ移行して、

革命の準備段階が終わり

革命を実行する時へ至っている。

 

「悔い亡(ほろ)ぶ、孚とせらるること有って命(めい)を改めれば吉なり」

 

改革することで、これまでの悪習旧弊が取り除かれて

大きな利益を享受できる。だから悔いは消え去るのである。

大谷さんの場合、野球に必要な強靭な筋肉を手に入れることで

これまでの弱点を克服し、

屈強な大リーガーに対してもますます活躍できる。

 

しかし、改革は容易なことではない。

改革を推し進める人の資質が問われる。

天下の人々が、その無私の意気や改革の志に感服してこそ

改革は成功を収める。

私利私欲に根差した改革などは、人心の心に受け入れられるはずもなく

一時は成功したとしても、次の転覆は目に見えている。

つまり多くの人々から孚と思われる改革でなければならない。

そうであれば、孚有って命を改めれば吉なり。

 

大谷さんの場合、人気商売。

ファンがいてこそ遣り甲斐のある仕事である。

大谷さんの肉体改造の心意気が、ファンにもっと楽しんでもらおう、少しでも勇気をもってもらおうという無私の気持ちからでたものならば

ファンはこぞって、この改革を後押しし、応援する。

そうならば、最終的には、この肉体改造とう改革は大成功に終わるだろう。

 

ただし、之卦の水火既済は戒めを忘れない。

「既済は小し亨る。貞きに利あり。初めは吉にして終わりには乱れる」

革命が成っても、その成功におごりたかぶらずに将来に備えよと。

 

報道によれば、打撃フォームも改造中とのこと。

今回の得卦は澤火革の四爻。

来年は五爻の大人虎変。

肉体や打撃フォームの改造が相俟って成功し

さらに一皮むけて、ポパイから虎へと変身する。

その姿を見るのが今から楽しみである。

 

断了

 

 

 

 

 

 

 

 

農村の晩秋~地天泰

2020年2月27日の占。

 

外食産業「いきなり!ステーキ(以下「いきステ」」。

一時期の飛ぶ鳥落とす勢いもなく、人気売上ともに低下の一途。

昨日、運営会社は、2020年中に74店(直営・委託が48店、フランチャイズ26店)を閉店すると発表した。

急激な店舗増加で、近隣の利用者の奪い合いが起きて、客数が大幅に減っている。

 

そこで

「『いきステ』の今後の経営状況の成り行き」を占って

「地天泰の初爻変、地風升へ之く」を賜った。

 

この卦は三陰三陽の卦。

地天泰で窮まれば、あとは天地否へ向けて衰運を下るのみ。

泰の三爻と四爻にその岐路がある。

右へ行けば、安泰の持続継続、左へいけば衰退一途。

生殺与奪は経営者の能力次第の分岐点。

 

卦辞「小往きて大来る、吉にして亨る」

これまでの繁栄を追想している辞。

遠き他国にも勢力を伸ばし、まさに「大来る、吉にし」て

思い通りに急激発展の道を歩んできた。

 

大象伝に、訓示がある。

聖人は、「天地の道を財成し、天地の宜を舗相し、以って民を左右(たす)く」。

過ぎたるところは制し、及ばないところを補うのだと。

これを旨とすれば、

いきステも泰平の時期を享受できたであろう。

 

そうは言っても、もうしばらく泰の時期を甘受できる。

今回の得爻の初爻に「茅を抜くに如たり。そのたぐいを以てす。往きて吉なり」

今回の閉店の合理化策を言っている。

直営・委託、フランチャイズを茅を抜く如く、

同一の根をもつものを

一気に抜き去る。一気に断行してよろしい、と。

 

この爻が変じて地風升。

卦辞「元いに亨る。用って大人を見る。恤(うれ)うるなかれ。南征して吉」

この合理化は大いに成功する。ただし、見識ある人物を抜擢する必要がある。

会社の生死がかかわる一大事。

のるかそるかを任せられる人物を任用しなければ、この窮地を突破するのは至難の業。

そうした人物が支援してくれるなら、心配は無用。

南、つまり離=明智を目指せば好結果。

将来の計画を綿密にたて、今まで以上に知略に富んだ戦略で進めば、再興の余地もあろう。

 

だが、升の互卦は雷澤帰妹、錯卦は天雷无妄。

機を逸してはならない、しかも、タイミングがよくても、无妄が控える。

人知を超えた流れが待っている。如何ともしがたい。

 

合理化策が奏功し、無事に乗り越えらると、次は立て直し。

既存店の採算が向上してきたら、次は出店拡大。

都市部のみだけでなく、

地方に目を向けて、活路を見出すことも必要であろう。

安易な方法に頼ることをせずに

剛毅果断に経営していくことが重要である。

これを二爻爻辞では

「荒(こう)を包(か)ね、馮河(ひょうが)を用(もち)い、遐(とお)きを遺(わす)れず」という。包容の大度量もあって、人気を博し、遠い地方の住民も、食べにやってくる。冷たい氷の張った河川を渉るように、地道に丁寧に着実に前進していくのである。

 

苦しいとはいえ、泰平の時期。安寧である。

上昇のきっかけをつかんだからと、

堕落するのではなく

常に過去の衰退を反省し、

謙譲謙遜の気持ちをもって

何事にも誰に対してもおごり高ぶらずに

お客様すべてに一様に対応することを心がければ

過不及のない理想的な経営ができるであろう。

これを

「朋(ほう)すること亡(な)くば、中行(ちゅうこう)に尚(かな)うことを得(え)ん」という。

 

そして、この上昇機運も、転換する時期がくる。

三爻のとき。

泰中の泰が窮まり、機運の変遷を示す。

「平かなるものとして陂(かたぶ)かざることなく、往(さ)るものとして復(かえ)らざることなし、艱(くる)しとて貞しければ咎无(な)し、其の孚(まこと)を恤(うれ)うる勿(なか)れ、食(しょく)に于(お)けるがごとく、おわりには福有らん」

 

やっと事業経営も落ち着いたと思う頃、泰中の否がやってくる。

それは、

平らなものがやがて傾き、

往く者がやがてはかえり来るようなもの。

 

もともと消長盈虚の義は、天道の自然にして、人力の及ぶところではない。
しかし、よく天地の道に則り、よく艱難労苦して、自ら反省して修める功を績み、欺くことのないように徳を盛んにして、貞正にして道を践み行うときには、そうせずに自然に任せているときよりも、泰のときを永く持ち守るのであって、これこそが否のときに行かないようにするための秘訣でもある。そして、このように自己を慎むときには、その咎も免れるのである。

だから、「艱しとて貞しければ咎无し」、という。

 

このような転変の時運に当たっては、

自分は正しく誠を尽くしていても、他人からは、その誠心を信じられないものである。
それを覚悟し、憂い悶えることなく、さらに誠を尽くして事に当たるのがよい。このようであれば、やがてその誠も通じ、ついには福を得るに至るものである。
要するに、今の状況は、日食や月食のようなものである。日食や月食のときは、しばらくは陰晦になったとしても、時が過ぎれば必ずまた明るくなる。

だから、「其の孚を恤うる勿れ、食に于けるがごとく、おわりには福有らん」という。

誠意をもって接客すれば、お客様の心に通じ、その人気も維持できるというもの。

 

しかし、機運がついに泰中の否に移ってしまうと。

経営内部も混乱を始める。

四爻「翩翩(へんへん)たり、富まざるをもって、其の鄰(となり)を以(ひき)ゆ、戒(いまし)めざれども以(も)って孚あり」

内部の者が、時を得て乱を起こそうと準備をしている、それを鳥が飛び立つ前の羽繕いしている様子(翩翩たり)に例えている。

大量離反や大量退職など人材流出により、人材不足・人手不足に陥るであろう。

 

このような状態になると経営再建は難しくなる。

倒産もありうる、それが惜しければ身売りも考えなくてはならない。

五爻には「帝乙(ていいつ)妹(いも)を帰(とつ)がしむ、以(も)って祉(さいわい)あり、元吉(げんきち)なり」と。

会社を支援会社に売却することで、従業員やお客様に少なくとも迷惑はかけない。

最低限の幸いはある。そして、それが現状できる最善の策であろう。

 

しかし、身売りした後、「いきステ」の看板は残念ながら残らないであろう。

上爻に「城隍(ほり)に復(かえ)る、師(いくさ)を用(もち)うる勿(なか)れ、邑(ゆう)自(よ)り告命すとも、貞(かた)くすれば吝(はずか)し」とある。

 

隍は土を掘って成るもので、

その掘りだした土を用いて、城を築く。
今、泰の時運はすでに去り、否の気運がまさに目前。
それは、高く堅く築かれた城が、忽ち深く低い隍に戻ってしまう如く。

城も隍も無くなってしまっては、根拠を失い、再興は困難。

再度、準備を整え、打って出ることはもはや無意味である。

人気も凋落し、そのブランド価値も失墜した状況では

再度の挑戦ができようか。

本社から、事業終焉の最後通告が出されたならば、

過去の栄光にしがみついていては、何の前進もない。

ここは潔く後退しなければ、未来永劫、悪評は消え去らない。

これは吝の極み。

天運尽きたと進退の機を感じ取ったならば、

臨機応変に対応するのが

残された道である。

 

三爻と四爻、その別れ道。

迷わないことを祈るのみ。

 

断了

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

春の悪寒~震為雷~

2020年2月24日の占。

 

「新型コロナウィルスの成り行き」を筮して、

「震為雷初爻変、雷地豫に之く」を賜る。

 

春(震)に、震(コロナウィルス)来って虩虩たり。まだまだ笑言啞啞たりともいかず、その勢いますます壮ん。その驀進は、百里を驚かせ、人類は匕鬯(マスク)を喪ない、遠く離れた地域さえ驚天動地、恐れおののき身震いが止まない事態。

 

 

震為雷初爻、最後は「笑言啞啞たり、吉なり」。また易は、満つれば欠けるの不易流行、おごれるものは久しからず、艮為山を配する。動くものは必ず止まる、止められる。進撃の巨神コロナウィルスも艮止ならん。

 

初爻変じて雷地豫。「侯を建て師を行うに利あり」、震を侯とし建てるとし、坤を国とし民とし順うとすれば、侯を建て民衆が随う様子。そうならば、対新型肺炎に対抗するには、侯を「薬」としし、師を「新型肺炎に対する治療」と解釈。「特効薬による新型肺炎の治療を国民が受診し、新型肺炎の流行は終息」。

 

その時期は如何。

四爻「震、遂に泥めり」、二発目の落雷とともに、特効薬が奏功し敵もパワー激減、そそして撃退。泥に捉えて足を動かなくところを包囲して一網打尽。それは今から4か月後の5月~6月、そして五爻「有事を喪うことなかれ」と易も応援。その一か月後の7月東京オリンピックは開催され、ウィルスとのミクロ戦争に打ち勝った凱旋祝賀会の開催。新たなオリムピック物語。

 

しかし、しかし。

そうは問屋が卸さない。

どんな特効薬で迎撃するのか。

敵(外卦)は震、しかも裏は巽。忍びの如く、知らぬ間に懐に巽入し、内側から攻めて崩す、こちら人類(内卦)も同じく表は震、裏は巽、攻守ともに負けはせぬはずが、今は身震いし、足元ふらつくばかり。

 

ならばと、王者人類の踏ん張りどころ。

火攻めは如何。雷火豊となり、相手をますます勢いづかせるのみ。

ならば、隔離戦法の防御一辺倒ならばと、雷山小過、

敵の勢いが小し勝って、防壁を崩されて、先は見えている。

如何なる大事が勃発しても自分を失うことなく、泰然自若と構え、宗廟社稷を一心不乱に祈念すれば、事変を治むというが、雷天大壮で、人類滅亡の危機。

この際開き直れとばかりに、敵と悦んで付き合えば、雷澤帰妹、すでにタイミングを逸して「おととい、来やがれ」。

最後の手段、「毒には毒をもって制する」の水攻め。

雷水解となり、人類の大勝利、見たか、ミクロの間者め(裏は巽)。

 

水攻めとは如何なること。

水溶性で、相手の毒になるもの。

 

坎の象、内の陽爻が、外の陰に囲まれる、注射の象。

震為雷四爻に「ついにに泥(なず)めり」。

泥で動きを鈍くする、からめとる。

泥は培養液。毒(ウイルス)を化成し、我が身にその毒を注入して、抗体を作る。

培養した毒を、注射で接種して、敵に負けない肉体へ化身させる。

 

以上、

新型肺炎は、接種の技術開発により

5月~6月に落ち着き、笑言啞啞となる。

人類は、易の作者の助言通り、

満つる時を延長できる。

 

断了。